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動機の錯誤って何?例を交えて解説します

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そもそも錯誤って?

動機の錯誤について知る前に、まずは錯誤の意味をおさらいしましょう。

錯誤

1 まちがうこと。まちがい。誤り。「―を犯す」「試行―」 「時々強いて―して織り込まれて」〈佐藤春夫・田園の憂鬱〉
2その人の認識と客観的事実とが一致しないこと。「時代―」
3 民法上、意思表示をした者の内心の意思と表示行為とがくいちがっていることを表意者自身が知らないこと。例えば、英和辞典を買うつもりで、気づかずに和英辞典を買うなど。
goo辞書参照

民法第95条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

法律行為の要素における錯誤とは、「合理的に判断して錯誤がなければ表意者が意思表示をしなかったであろうと認められる場合」になります。

これだけ見てもよく分かりませんよね。

次は具体例を見て、どんな場合に錯誤が認められるかを知りましょう。

動機の錯誤 具体例

良馬だと思って買ったのに、駄馬だった

ある買主は、妊娠している馬を欲しいと思い、仲介者が「妊娠している」と言明した馬を購入したが、実際には購入した馬が妊娠していなかった場合。(良馬売買事件)

購入者は「妊娠している」ことを前提に、その馬を購入する意思を表示しています。

しかし、購入した馬は妊娠しておらず、「妊娠している馬がほしい」という動機に対して、馬が妊娠していないという錯誤が発生しているため、この取引は成立しません。

これは実際に起きた事件で、裁判の結果、取引は不成立となっています。

不動産取引の事例

家を建てたいのに、建てられない土地を購入してしまった例

Aさんは「家を建てたい」と思い、ある土地を購入しました。
しかし、その土地は市街化調整区域に属しており、家を建築することができましたでした。
この場合も、「家を建てたい」という動機に対して、家が建てられないという錯誤が発生しています。
取引において、家を建てられなかったと知っていたら、間違いなく購入していなかっただろうと合理的に判断できるのであれば、動機の錯誤が成立します。 逆に言えば、購入の際に家を建てることを明言していなかったり、市街化調整区域が家を建てられない区域だと認識するであろうやり取りがあった場合は、認められない可能性もあります。
まともな不動産会社なら契約の前に、重要事項説明書を用いて念入りに説明をするので、本来起こり得ないことではあります。

※市街化調整区域とは、市街化を抑制する地域で、原則として建物を建築できません。

家を建てたら、高層マンションが建ってしまった場合

ではこんなパターンはどうでしょうか。 Aさんは、「日当たりのよい家がほしい」と思い、土地と建物を購入しました。すると、まもなく高層マンションが近隣に建築されて、日当たりが悪くなってしまいました。
この場合は、動機の錯誤と言えるでしょうか。 まず、Aさんが動機の錯誤だと主張するためには、売買の際に「日当たりの良い家」であることを前提に購入することを明示しておく必要があります。
ただ、今後ずっと日当たりが良いなんてことを保証する術はありませんから 、現時点で近隣で高層建物の建築計画がないことを条件にするのが打倒です。

動機の錯誤が認められることがあり得るパターンとしては、
Aさんは購入の際に、「日当たりが良いことが条件、現時点で周辺1㎞以内で高層建物の建築計画がないことを前提に購入する」という意思表示をしたうえで購入したが、実際には契約時に周辺1㎞以内に高層建物の建築計画があった場合は、動機の錯誤が認められるかもしれません。

上記の場合、動機条件がはっきりと表示され、購入の前提条件として認められると考えられるため購入者に軍配があがる可能性が高いです。

逆に、購入してから高層マンションの建築計画が立った場合は、買主の意向が通るのは難しそうですね。

不動産の取引で錯誤のトラブルに巻き込まれたら、すぐに専門家に相談するのが一番です。

相談するなら、実績豊富なCentury21 中央プロパティがおすすめです。

錯誤は動機だけではなく、表示の錯誤も重要?

錯誤は動機だけに当てはまるものではなく、表示にも当てはまります。表示の錯誤ですね。

意思表示が錯誤しているパターンです。

事例を見ていきましょう。

為替の勘違い

Aさんは、ある商品の売買契約の際、商品を10,000ポンド(£)で販売しているつもりでしたが、、実際には代金を10,000ドル($)と誤って掲載してしまい(「$」と「£」の記載ミス)、その商品情報を見たBさんが、10,000ドルで購入するとAさんに伝え、AさんとBさんとの間で、対象商品を10,000ドルで売買するとの契約書を作成しました。 
この場合、Aさんは、対象商品を10,000ポンドで売るつもりだったことから、代金を10,000ドルとした売買契約を無効にしたいです。一方、買主Bさんは、当初から対象商品を10,000ドルで購入するつもりだったので、この売買契約は有効にしたいです。

この場合はどうなるんでしょうか。

Aさんは、対象商品を「10,000ポンドで売りたい」と思いながら、「10,000,ドルで売る」という表示をしています。本来の意思表示が錯誤している状況ですね。
ただ、Bさんからしてみたら、表示の誤記まで気にして買い物をしないといけないのかという問題にもなります。

ここで錯誤として認められるかどうかは、対象商品が合理的に考えて10,000ドルで買えるかどうかです。 合理的に考えて、10,000ドルで販売する訳がないと考えられる場合には、錯誤が認められるかもしれません。

まとめ

今回は、錯誤についてまとめていきました。 錯誤が認められるのは、

・契約時に明言をしていたか
・合理的に考えて意思決定の判断材料になったと判断されるか

が重要です。

例で述べた法律問題はいつ誰の身に降りかかるか分かりません。
特に不動産売買は多くの方が経験することですから、法律知識を身に着けておくこと、すぐに相談できる先を見つけておくことは非常に大事なことですね。